可能な場合と不可能な場合

インプラントは大変有効な治療ですが、全ての方に手術が可能なわけではありません。


 可能な場合と不可能な場合

歯槽骨の量

インプラント治療をするには、インプラントが埋まるだけの骨量が必要です。インプラントを埋め込みたい部位の歯槽骨が最低でも5mm以上は必要です。骨量の少ない歯槽骨にはたとえ埋めこむことができても、骨量が十分になくて支える力が弱いと、噛み合わせの力に耐えられず、インプラントが抜け落ちてしまいます。しかし、現実には骨量が足りない人は数多くいらっしゃいます。その場合、インプラント治療は不可能なのかというと、そうではありません。足りないところには、からだの別の場所から骨を採取し、それをつぎたす方法があります。それが骨移植です。
骨量が不足する原因は大きく2つに分けられます。 一つ目は生まれつき顎の骨が薄い方がおられること、 二つ目は歯周病(歯槽膿漏など)にによる歯槽骨の吸収で、高さ、幅ともに減少してしまいます。歯肉に起きた炎症が歯と歯槽骨の間にある歯根膜を破壊して、歯槽骨そのものも吸収していってしまいます。その結果、歯が抜けてしまうわけです。歯が抜けるほどになったときには、骨の吸収はかなり進んでいて歯槽骨が非常に後退してしまっています。 40歳以上の日本人が歯を失う原因は、ほとんどの場合歯周病です。歯周病は最初歯肉が腫れる歯肉炎から症状が始まるのですが、25歳以上の80%は歯肉炎にかかっています。

全身疾患

重度の糖尿病や肝臓病、高血圧症、腎臓病などの全身疾患がある方は、インプラント治療を受けられません。なぜなら、外科手術に耐えられないからです。 ただし、軽度であれば可能なこともあります。いずれにせよ、手術できるかどうかは、主治医の意見をもとに決定します。 いずれにせよインプラントの手術を依頼する歯科医師に、全身疾患について情報を提供することは大変重要です。

骨粗しょう症

骨粗鬆症とインプラントについては、1993年にスウェーデンのアンドレーゼという研究者が「インプラントジャーナル・オーラルマキシロフェイシャル」という歯科雑誌で、「骨粗鬆症であることはインプラント治療の危険因子にはならない」と発表しています。